地図作成班プロジェクト(Emergency Mapping Center Project)の発足
災害対応における地図を用いた状況認識の統一を実現するプロジェクトである「地図作成班プロジェクト(通称:EMCプロジェクト」は新潟県中越沖地震の発災を契機に、発足した。7月19日から8月10日までの23日間、新潟県災害対策本部において「新潟県災害対策本部地図作成班」として、応急・復旧期の活動を支援した。その後、被害が最も甚大であった柏崎市にその活動拠点を移し、2007年9月11日から2008年3月31日の間、柏崎市地図作成班として、復旧・復興期の活動を支援した。また、2008年4月1日以降、地図作成班としての活動を終えたあとも、継続して、被災者の生活再建を中心とした状況認識の統一に寄与するデジタル地図の作成を行った。
EMCプロジェクトは、京都大学・新潟大学をはじめとする研究機関と地元新潟企業6社からなる「にいがたGIS協議会」を中心とする企業、専門性を持ったボランティア等が新潟県・柏崎市と連携し、産官学民連携支援チームとして、GISを用いて被災状況や対応状況を迅速に地図上に可視化し、被災者、防災関係機関、報道機関等の間での状況認識の統一を図ることを目的として活動した。
応急・復旧期 における効果的な災害対応のための状況認識の統一
新潟県災害対策本部における地図作成班(EMC)の活動
平成19年7月16日の午前10時13分、「新潟県中越沖地震」が発生した。平成16年中越地震の対応経験から「状況認識の統一」の重要性を強く認識していた泉田知事より、「災害対応の状況をわかりやすく地図化できないか」という要請が出され、それに応じるかたちで産官学民のボランティアメンバーからなる「新潟県中越沖地震災害対応支援GISチーム(県庁内呼称「地図作成班・EMC」)を編成した。
地図作成班チームでは、そのミッションを「災害対策本部等に入る様々な内容、形式の情報を、災害対応業務の展開速度に対応し、迅速に電子地図化し、被災地の効果的な災害対応の実現と早期復興に貢献すること」と定めて、活動を実施した。
8月10日に活動を終了するまでの23日間に、産官学民からなる地図作成者103名、受付・相談担当者85名、総務担当87名の、のべ275人が参画した。この活動を通して、地図作成班では「災害対策本部会議のメンバー間の状況認識の統一を図るための地図作成」と「災害対策本部班、各課、各関係機関が実施する個別の災害対応業務を支援するための地図作成」を進め、およそ139種類の主題図を作成した。
本試みは、デジタル地図作成を通して災害対策本部での状況認識の統一を支援するというわが国の災害対策史上で初めての試みとなった。また、同時に応急・復旧期に災害対応従事者がその活動や意志決定のためにどのような地図を実際に必要としたかを知ることができる貴重な試みである。
復旧・復興期 における効果的な被災者支援のための状況認識の統一
新潟県柏崎市復興支援室における地図作成班(EMC-K)の活動
「平成19年新潟県中越沖地震」において最大震度6強を記録し、被災の中心地となった柏崎市では、被災者の継続的な生活再建支援を戦略的に進めるために、様々な活動を実施した。まず、被災建物に対する被害認定調査の結果をデータベース化し、それらの被災建物と居住者を結びつけるためのシステムを構築した。そのシステムを用いることで、被災者の被害実態を把握、生活再建に関わる支援制度を様々に適用しながら、支援を実施した。この「被災者台帳」の構築については、産官学民のボランティアメンバーからなる支援チームが核となった。
この支援チームが母体となり、「柏崎市中越沖地震災害対応支援GISチーム(呼称「柏崎市地図作成班(EMC-K)」)を編成し、生活再建支援過程の可視化を試みた。
この活動は、9月10日から地図ニーズの把握と地図の作成を開始し、2008年3月31日に活動を終了するまで、約7ヶ月間活動を実施し、81種類の主題図が作成された。
本試みは、デジタル地図作成を通して、復旧・復興期における効果的な被災者支援のための関係機関による情報認識の統一を実施するという、日本の防災史上はじめての試みとなった。また、同時に復旧・復興期に災害対応従事者がその活動や意志決定のためにどのような地図を実際に必要としたかを知ることができる貴重な試みである。